根拠はないけど、そう思う

折口信夫にはまったものの、推し方がよくわからない…

いしかわ百万石文化祭2023 羽咋市国民文化祭② 『生き方の歴史~万葉集、羽咋、そして折口信夫~』

【いしかわ百万石文化祭2023 羽咋市国民文化祭 関連記事】

  1. 特別展『折口信夫がのこしたもの』
  2. 万葉集特別公開授業『生き方の歴史~万葉集、羽咋、そして折口信夫~』

 

【目次】

10月20日(金)万葉集特別公開授業『生き方の歴史~万葉集羽咋、そして折口信夫~』

 講師:上野誠さん(國學院大學教授)

 場所:羽咋高等学校

 

 上野さんと言えば、2022年10月「100分de名著 古代研究」の解説された方。御本では、時に仮想折口先生と対話しながら、折口学を今に照らし合わせて考える内容が印象的です。

 

 あいにくの雨でしたが、無事に高校に到着しました。

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 会場の講堂には生徒さんが集まり、気多大社で行われているプロジェクションマッピングの映像が流れていました。(講演の後、宮司さん(IT系?機械系?)がプロジェクションマッピングの企画についてお話してくれました)

 

 時間になり、上野さんが登場。『あのな』と生徒さんに語り掛ける口調で、ご自身の学生時代の成績のお話の後…いきなり歌が始まった!

 

上野『♪1番はじめは一の宮、2は日光東照宮、3は讃岐の金毘羅さん…』

 

 それをもう一度歌って、と言われたんですが、意外と歌えますよね。なぜか?

 数え歌で、韻を踏んでるから、何となく…。

 

上野『歌というものは「かた」があるから伝わる、文化というものは「かた」があるから伝わる。そのことに初めに気付いたのが折口信夫

 

 例えば森に斧を入れなかったり一般人は立ち入り禁止だったりの決まり事も、数え歌も「かた」があるというわけで。

 おぉー、そういうことか😳

 

 他にも『すずめの戸締り』や『君の名は』といった映画を例に上げ、『伝統を離れて新しいものの創造はない』『新しい映画も古典作品を踏まえている』などなど、歴史や古いものも今と繋がっている、というお話でした。

 

 上野さんと言えば、万葉集のご研究ですが、古代の海外の貿易拠点だったかもしれない羽咋とそこにやってきた大伴家持のお話では、大伴旅人・家持の万葉集の歌の解説がありました。

 息子は赴任先で真面目に羽咋の海の景色詠んでるけど(巻17の4025)、父は赴任先から帰る時に遊女が見送りに来ちゃった(巻6の965)なんて、面白いですね。

 

 何故自分の生れた土地について学ぶのか、時には『ここ、試験に出るぞ』『大学受験の面接で…』という言葉も効かせつつ、先生の質問に答えた生徒さんには本が渡されたりもして、あっという間に時間になりました。

 上野節のきいた、折口先生ファンとしてうふっとしてしまう、ユニークな講演でした。

 

羽咋高等学校 校歌碑・杜の鐘

 折口博士父子記念会会長の藤田さんにご案内を頂きました。ありがとうございました🙇‍♀️

 羽咋高校の校歌は折口先生が作詞したもので、校内に碑が建っています。

 (ちなみに、折口先生が来た時代、高校は現在の市役所の辺りにあったとのこと。地元ならではの情報🤭)


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校歌

沙丘(サキュウ)に 朝の日ぞのぼる。

みな出でて見よ。水(ミヅ)や空(ソラ)。

 深き心は 海に得て

 知識いよいよ明らかに、

 天つ空より ひろき胸

 世にまじはらむ。輝(カガ)やかに。

古國(フルクニ)能登に生(オ)ひたち

使命はいよよ若わかし。

 ああ新しき日本(ニッポン)と、

 吾等は在らむ。とこしへに

 

 実は同じく敷地内の、三角の傘のようなオブジェの傍にある鐘も折口先生に縁のあるそうです。

 校歌の二番に鐘が登場します。

羽咋の杜の鐘 心澄み行く清き音は、高き希望に生きよとぞ

 校歌の謝礼を折口先生に渡そうとされた時、先生は受け取らず、代わりにそのお金で校歌に登場する鐘でも作って生徒の心を癒してはどうか、という提案があったそうです。

 そうして作られた鐘です。


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 風が抜き抜けると鳴りそうな、生徒さんのすぐ傍で親しまれているような鐘でした。